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機能解説:シンセサイザ部

本ページでは、シンセサイザ部の機能と、音作りに関係するパラメータについて説明します。

1.全体ブロック図

CureSynthの画像

全体の構成を上図に示します。

40個のボイス(発音単位)を、16チャンネルに割り当て、エフェクトを掛けて出力する構成になっています。また、任意の音声を転送し、発音するサンプリング機能も搭載しています(本体ソフトウェアVer.1.1.0.a以降)。各々のブロックについては、以下で説明します。

2.ボイス

CureSynthの画像

40個のボイス各々が、上図のような構成になっています。ボイスは2オシレータ構成で、オシレータ1はsin波を含む各種波形、オシレータ2はsin波を出力します。各オシレータの出力を乗算(リングモジュレーション)し、ADSRやベロシティ値を乗算し、さらにDCカットフィルタを通すことで、ボイスの出力が得られます。

オシレータ1・2

パラメータ 設定値 説明 種別
Wave Type 0: SINE(サイン波)
1: SQUARE(矩形波)
2: TRIANGLE(三角波)
3: SAW(ノコギリ波)
4: WHITE NOISE
5: PINK NOISE
6: PCM
7: PCM Reverse(PCM波形の逆再生モード)
オシレータ1の波形を選択する。 NRPN
Wave Num mm:0-12
(13種類)
オシレータ1のPCM波形番号を選択する。Wave Typeが6(PCM)または7(PCM Reverse)の場合のみ有効。 NRPN
Ringmod Multiply mm:0-127 オシレータ2(リングモジュレータ)の周波数を設定する。周波数は、オシレータ1を基準として(mm + 1)/32倍となる。(例:63に設定すると、オシレータ1の2倍の周波数が出力)。 0でオシレータ2が無効となる。mmを(16の倍数-1)に設定すると、綺麗な音色になることが多い。 NRPN
Ringmod Gain mm:0-127 オシレータ2のゲインを設定する。mmは127をゲイン1とした相対値。 NRPN

ADSR

ADSRの概略図とパラメータを次に示します。ノートオンを受信すると、時間経過に従って、以下のような出力となります。このグラフを「エンベロープ」と言い、エンベロープの設定値(Attack, Decay, Sustain, Release)をそれぞれの頭文字を取って「ADSR」と言います。

CureSynthの画像

パラメータ 設定値 説明 種別
Attack Time mm:0-127 ノートオン受信後の、音の立ち上がり時間を設定する。数値が大きいほど、音の立ち上がり(傾き)が緩やかになる。 CC 73
Decay Time mm:0-127 音の最大値からSustain Levelに至るまでの時間を設定する。 NRPN
Sustain Level mm:0-127 サステイン(持続)状態の開始音量を設定する。 NRPN
Sustain Rate mm:0-127 サステイン状態の際に、音量を減少させる傾きを調整する。0に設定すると、ノートオフを受信するまで、音量がSustain Levelを持続する。 NRPN
Release Time mm:0-127 ノートオフ受信後、音量を0にするまでの時間を調整する。0に設定すると、ノートオフ受信後、直ちに音量がゼロとなる。 CC 72

その他

パラメータ 設定値 説明 種別
Sweep Type 0: UP
1: Down
2: NONE
音色のピッチの自動変化(スイープ)を設定する。UpまたはDOWNに設定すると、音色のピッチを自動で上昇または下降させる。NONEはスイープ機能をオフにする。 NRPN
Sweep Speed mm:0-127 スイープの速度を設定する。Sweep TypeがNONEの場合は、Sweep Speedに応じた時間経過でNote Offとなる。0に設定すると時間経過でのNote offを行わない。 NRPN
Output gain mm:0-127 ボイスの出力音量を設定する。 NRPN

※Modulation, Pitch Bendは「チャンネル」で後述

プリセット音色について

プログラムチェンジを受信すると、プリセット音色に従って上記パラメータを自動で設定します。プログラムチェンジを受信後にパラメータを送信すれば、個別にカスタムすることもできます。プリセット音色のパラメータ値については、プリセット音色を参照して下さい。

3.サンプリング音声

CureSynthの画像

本体ソフトウェアVer1.1.0.aより追加されました。任意のサンプリング音声を本機に転送・登録し、MIDI音楽と同時に再生できる機能です。登録できる音声は32種類で合計50秒、同時発音数は1音です。サンプリング音声は指定したチャンネルに出力されるため、後段のVolume, Expression, Distortion, フィルタ、Pan, Reverb, Chorus, Delayを適用できます。

使用方法はは機能解説:サンプリング機能を参照してください

4.チャンネルアサイナ

各ボイスの出力を、16個のチャンネルに割り当てます。出力をチャンネル毎にミックスし、各チャンネルへ送ります。

5.チャンネル

CureSynthの画像

16個のチャンネル各々が、上図のような構成になっています。

チャンネルでは、チャンネルアサイナやサンプリング音声によって得られた入力に対し、ボリューム制御・Distortion・フィルタ・パンを適用してステレオ化し、Dryout(エフェクトの掛かっていない素の音)として出力します。 さらにReverb, Chorus, Delayエフェクトへ、チャンネルごとに設定されたセンド値に従って、○○sendとして出力します。

ボリューム制御

パラメータ 設定値 説明 種別
Volume mm:0-127 チャンネルの音量。Expressionと同じ効果。固定しておき、音量の微調整に使うことが多い。初期値は100。 CC 7
Expression mm:0-127 チャンネルの音量。Volumeと同じ効果。曲中で抑揚を表現するために使うことが多い。初期値は127。 CC 11

Distortion

Distortionエフェクトは後述のエフェクト部とは異なり、各チャンネルごとに独立しています。

パラメータ 設定値 説明 種別
Distortion Type 0: OFF
1: Hard Clip
2: Soft Clip
3: Assym
Distortionエフェクトの歪ませ方を設定。
OFF: リセット時。エフェクトなし。
Hard Clip: 一定レベル以上の波形を切り取る。
Soft Clip: Hard Clipよりも滑らかな音色。
Asym: 入力レベル-出力レベルの関係が対称的ではないもの。Hard ClipとSoft Clipの中間のような音色。
NRPN
Distortion Level mm:0-127 Distortionエフェクトの歪み量を設定。 NRPN
Distortion Gain mm:0-127 Distortionエフェクトの出力音量を設定。 NRPN

フィルタ

パラメータ 設定値 説明 種別
Cut Off mm:0-127 フィルタのカットオフ周波数を設定する。64が初期値で、約15kHz。 CC 74
Resonance mm:0-127 フィルタのQ値を設定する。64が初期値。 CC 71

定位(パン)

パラメータ 設定値 説明 種別
Panpot mm:0-127 音の定位。64を中央とし、0が最左、127が最右の定位となる。定位が中央のときの左右の音量は、左または右に振り切ったときを基準に-3dBとなる(Pan Law:-3dB) CC 10

エフェクトへのセンド

センド量が大きいほど、エフェクトの音が大きくなります。0に設定するとエフェクトの音が出力されなくなります。

パラメータ 設定値 説明 種別
Reverb mm:0-127 リバーブへのセンド量。 CC 91
Chorus mm:0-127 コーラスへのセンド量。 CC 93
Delay mm:0-127 ディレイへのセンド量。 CC 94

モジュレーション・ピッチベンド

モジュレーションおよびピッチベンドは、チャンネルごとに設定します。これらの設定値をもとに、オシレータの音程が制御されます。

パラメータ 設定値 説明 種別
Modulation mm:0-127 音程を揺らす。揺れの周波数は、 "Vibrato Rate"で設定する。 CC 1
Vibrato Rate mm:0-127 音程の周波数を調整する。数値が大きいほど周波数が上昇する。 CC 76
Pitch Bend mm:0-16383 音程を変化させる。 Pitch Bend
Pitch Bend Sensitivity mm:0-24 Pitch Bend の値が最大の際の音程を、半音単位で指定。リセット時は2となる。12に指定すると、上下1オクターブの範囲となる。 RPN

ユニゾン

ボイスを複数重ねることができます。複数重ねることで、厚みのある音を出すことができます。

パラメータ 設定値 説明 種別
Unison number mm:0-9 ユニゾン数を設定。0がユニゾン無しで、数字が増えるに従い、同じ音色・同じ音で発音するボイスが増える。mmの最大値は9であり、10ボイス同時に発音することができる。Unison detuneと共に使うことで、音に厚みを出すことができる。 NRPN
Unison detune mm:0-127 64を基準とし、数値が増える(または減る)に従って、ユニゾンするボイスの音程が、基準となるボイスの音程より離れる。 NRPN

作者は、Unison numberを5・ Unison detuneを10あたりに設定するのが好みです。ただし、音量が増大し、音量クリップの原因となるので注意です。Saw Waveに適用すると、いわゆる「Super Saw」のような音色になります。

その他

パラメータ 設定値 説明 種別
Fine Tuning mm:0-16383 チャンネルの音程を微調整する。8192を基準とする。100/8192セント単位で設定する。16383で約100セント(半音)上がり、0で半音下がる。 RPN
Coarse Tuning mm:0-127 チャンネルの音程を粗調整する。64 を基準に、半音単位で設定する。 RPN
Hold Pedal 0:OFF
127:ON
値が64以上でONとなる。ONの場合、ノートオフを無効化し、ペダルの効果を生み出す。 CC 64
Sostenuto 0:OFF
127:ON
値が64以上でONとなる。ONにした時点で発音中の音を、OFFにするまで継続させる。 CC 66
Drum Track Set 0:Melody
1:Drum
チャンネルを「メロディトラック」として扱うか、「ドラムトラック」として扱うかを決める。初期値は、Ch10がドラムトラック・その他はメロディトラックになる。リセットメッセージを受信すると初期値に戻る。 NRPN

6.エフェクト

CureSynthの画像

上図はエフェクト部の構成です。

各チャンネルから得られたDryoutをミックスします。さらに各チャンネルから得られたReverb・Chorus・Delayのsendをミックスし、それぞれリバーブ・コーラス・ディレイへ通します。最後に全ての音をミックスし、マスターボリュームとボリュームノブで調整し、音を出力します。

Distoritionエフェクトが各チャンネルに備わっているのに対し、リバーブ・コーラス・ディレイエフェクトは各1基です。

パラメータ 設定値 説明 種別
Reverb Type 0: Normal
1: Hall
2: Room
リバーブのタイプを指定。Hallは長い残響音。Roomは短い残響音。残響音が鳴っている途中でReverb Typeを変更すると、ノイズが出るので注意。 NRPN
Chorus Depth mm:0-127 コーラスエフェクトの振幅。 NRPN
Chorus Freq mm:0-127 コーラスエフェクトの周波数。 NRPN
Delay Time mm:0-127 ディレイ時間を設定。127で最大値(約0.34秒)。 NRPN
Delay Feedback Gain mm:0-127 ディレイのフィードバック量を設定。0でフィードバックがオフとなる。 NRPN
Master Volume mm:0-127 最終段のボリューム。曲のフェードイン/アウトなどに使用する。 SysEx